自分は高校で保健体育を教えている教師である。高校教師というのは、読者諸君も想像するように、精力溢れる生徒と毎日のように接する職業だ。嫌というほど若さを感じ、自分の老け具合を感じ始めてはいるが、実にやりがいはある。

最近、保健の授業でよくありがちな「性」の話でまるまる一時間の授業が終わった。男女別に行っていたので、男子生徒の盛り上がりが止まらなかったのである。話はエイズから発展し、セックスやED、バイアグラなんてところまで広がっていった。調子に乗った生徒たちは「先生はEDだ」と冗談半分でからかったりもする。だが、自分がつい前まで本当にEDであったからなかなか笑えなかった。

教師になって20年くらいたった頃だろうか、まったく妻と夜を過ごさなくなった。そんな関係が数年続き、気づけば自分は使い物にならなくなっていたのである。いわゆるEDというやつだが、正直、保健体育教師ということもあり、ひどく落ち込んだ。浮気を始めたのか知らないが、妻は夜遊びが激しくなっていったし、いくら気合いを入れても自分は使い物にならない。悩んだあげく、医師の薦めもあり、自分はバイアグラに手を伸ばしたのである。

バイアグラの効果は、使った人間が一番よくわかると思った。EDでまったく役に立たなかったはずのペニスがいきり立ち、今まで遊んでいた妻の中で、まるで復讐しているかの如く暴れたからである。自分が自分じゃないようであった。妻は涙を流していたし、怒りなのか悲しみなのかわからないが、やけに興奮した自分はペニスを突き続けたのだ。妻が果てても自分はまだ果てない。EDを忘れ、二時間まるまるセックスできたのは確実にバイアグラのお陰である。とにもかくにも、自分は若返ったかのように、今はセックスを楽しんでいる。

昼間は生徒にからかわれる自分だが、夜は誰もからかうことはできないであろう。バイアグラを知ってからは、セックスが教師になりたての頃より楽しいとさえ感じている。ある意味、EDになったのは良かったかもしれない。そう、思ってしまうほどなのだ。バイアグラ、人生のよきパートナーである。
 
私がバイアグラをよく知ったのは最近のことでした。インターネットや雑誌などでよく見かけるバイアグラ、今まで何となく意識せず過ごしてきたのですが、私の友人がインポテンツとなり、ついに先日、実物を見ることになるのです。友人がインポテンツになった原因は、システムエンジニアという忙しい仕事などでくる肉体的な要因と、奥さんが若すぎるという劣等感からくる精神的な要因の二つでした。

仕事が忙しいのはさておき、奥さんが若いことがストレスになるなんて妬ましい話でもありましたが、私がなぜストレスなのかと尋ねると、彼は頻繁に夜の生活を求めてくるからだと答えました。それは確かにそうで、50代半ばにさしかかる私たちに比べ、30代の奥さんは専業主婦ということもあり、性欲旺盛だったのです。何事も強制されるとうまくいかないといわれますが、私の友人の場合、それが夜の夫婦生活に作用し、インポテンツとなってしまったのでしょう。

友人は、インポテンツになったことよりも、奥さんを悲しませることに非常に気を使っていました。世間的に見れば文字通りおしどり夫婦だったこともそれに拍車をかけます。そんなこともあり、友人は比較的早い段階でバイアグラを検討し、服用し始めました。ちょうど服用をし始めた週末だったでしょうか、友人から電話が来たのです。もちろん、内容はバイアグラの効果について。

思ったよりすごいんだなバイアグラって。驚いたよ、もはやインポ知らずだな。
 
開口一番、友人は嬉しそうにこう言い、報告を始めます。話によれば、毎晩どんなに遅くなってもバイアグラを服用することで、インポテンツが解消され夜の夫婦生活が営めるということでした。しかも、内容も非常に濃いとのこと。聞くのも躊躇われるような熱い内容だったと記憶します。 

後日、たった数錠ですが、バイアグラを友人が見せてくれました。普通の薬と変わらず、見たからといって何か話のネタになるいったものでもありません。ただ私は、その時が来たら必ずバイアグラを使おうと、心に決めたのです。